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カフェオレと本の時間
職業柄もあるかもしれないが、私は本が好きだ。古紙の匂い漂う図書館もいいけど、今日は見たい新刊がある。5階へあがると、そこはもう、右見ても左見ても、本。うひうひ奥へ進むと、カフェがあった。そういえば、ここは買う前の本を持ち込めるんだっけ。思い立ったら即行動。今日は少し時間もある。もう一度気になっていた書棚に戻って、いくつか手に取った。
「3冊まで持ち込めます」とあれば、3冊持ち込みたい! 目当ての本を2冊抱え、平積みされていた気になるタイトルの本をふと手にする。こういう思いがけない本との出合いが、たまらない。
カフェでは、1人で読書にふける女性、スマホと向き合うサラリーマン、ワッフルを分け合う年配の親子。皆がそれぞれ、自分の大切な時間をコーヒーと過ごしていた。
カフェオレを飲みながら、最後に取った本を読み始める。「早起きすれば1日が有効だから、朝早く起きようよ!」みたいな内容の本だ。毎日9時間寝ないと機嫌が悪い私にとって、そういう類の本はこれまで何冊も読んで、何度も3日坊主してきた。
しかし、それがつい面白くて最初の2冊は開くこともないまま、カフェオレも時間もなくなった。ああ、なんてこと。
結局、残りはペラペラ見ただけで1冊を購入。早起き本は棚に返した。帰宅後、秋の夜長を楽しむべく買った本を読み込んでいたら、翌朝は…いつもより更に寝坊した。ま、そんなもんか。やっぱり慣れないことは難しい。
金澤佑樹エッセイスト
旅エッセイスト・ライター・札幌観光大使。札幌の魅力に取りつかれ、関東から移住。北海道内をあちこち旅してエッセイを執筆している。