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ピンクの紙袋に、春眠準備を
買うとテンションが上がるものが、私にはいくつかある。ずばり化粧品、下着、パジャマだ。洋服やアクセサリーなどと違って、誰かに直接見せるものではない。でも自分の中ではウキウキがふつふつと沸く。
店に立ち寄った時は、下着が気になっていた。そろそろボロパンツでも買いなおそうか、そんな気もしていた。しかし店頭に飾られたパジャマがどきゅーんと胸を突いた。おおお、かわいい!パジャマというものは、何歳になっても好みが変わらない。私だけだろうか?家の中限定で着るものだからこそ、かわいくてなんぼ。
インフルエンサーとのコラボと書いてある。若者でない私には、彼女は全く他人でしかないが、よくぞこのデザインをしてくれた。ねえねえ、いい大人でも買っていいですか?
ちょっぴり悩んだので、話しかけてくれた店員さんにえへへと返し、こっそり娘に連絡してみた。ピンクとチャコール、どっちがいいかな。ママが着てもいいかな。「かわいい!欲しい!」と即レス。おそろいをねだられそうになったが、そこは取りあえず「一家に一着」で我慢してくれ。それにしても、迷っている時には誰かの肯定をもらうと、いとも簡単に財布は開かれる。待たせたな、店員さんよ。
ピンクの紙袋を片手に、ごきげんで歩く。これだから買い物は楽しい。探している時のワクワクと、買った時のウキウキと、身につけた時のドキドキ。たくさんのショップが並ぶマチで、私は今日も買い物をする。また明日はどんなものに出合えるかな。

金澤佑樹エッセイスト
旅エッセイスト・ライター・札幌観光大使。札幌の魅力に取りつかれ、関東から移住。北海道内をあちこち旅してエッセイを執筆している。