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vol16

わたしのマチじかん [15]

わたしのマチじかん

ぬくぬく麺の昼の誘惑

 冷たい空気を纏ったまま、逃げ込むように地下に入る。コートのボタンを開けてはみたが「温かいものが食べたい!」とテクテク。人が並んでいるのが見える、うどん屋さんに向かった。札幌駅の再開発が始まってから、ランチタイムは混雑している印象があるが、さすが回転が早い。待ったとはいえ、すぐに席にご案内。
 梅がのったうどんにしようと決めていたが、何となくメニューを開く。むむむ?カレーうどんか…。違うページのその魅惑的な食べ物に、一瞬にして心を奪われる。いやいや、今日はさっぱり梅味ではなかったのか自分よ。どちらもうどんであることに間違いないが、カレーという絶対的存在にあっさりその座を奪われる、梅よ、すまん。私は意志の弱い女。
 紙エプロンもついてきたので黙って装着。なんといっても今朝コーヒーをこぼした洋服に出がけで気がつき、急いでニットベストを重ね着してきたくらいだ。これ以上の事件・事故を起こしてはいけない。万全の策で、いよいよカレーうどんに対峙。その黄色に包まれた麺をそっと持ち上げる。ああ、おいしい。店内にはゆるく、童謡が流れていた。懐かしいなぁ。急ぐ時間だがこのメロディーを耳にすると、心もほんわかだ。
 麺をすすり、木のレンゲでカレーを飲んだ。ああ、日本人でよかったぁ。この敵なしの食べ物は一体誰が思いついたんだろうね。
 食べ終わる頃にはポカポカになっていた。店先に並ぶ人を眺め、すぐに席を立つことにする。どうぞ、あなたもちゅるりんちょといってください。温まるよ。

●実演手打うどん 杵屋
[アピア/ウエストB1F]

金澤佑樹

金澤佑樹エッセイスト

旅エッセイスト・ライター・札幌観光大使。札幌の魅力に取りつかれ、関東から移住。北海道内をあちこち旅してエッセイを執筆している。